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決死のジャンダルム編‼︎

  • 執筆者の写真: kota ito
    kota ito
  • 2019年7月16日
  • 読了時間: 5分

この山行は思い起こせば1年前に遡る。 初めてあったのは後立山縦走。サークルに初参加のさおりは岩稜線が好きでジャンダルムを歩くことを夢と言っていた。 その後、いつかジャンダルムに一緒に挑戦しようとよく話をしていた。 後立山、立山劔、甲斐駒、厳冬期鳳凰三山、赤岳、いろんな山々を歩いた。 「じゃあ海の日を含めた3連休で挑戦しよっか?」 「ありよりのあり」 こうして本登山が決まった。 

1.山について 穂高岳は日本屈指の岩稜線を持つ長野県最高峰の山である。特に西穂高岳奥穂高北穂岳間は北アルプスの一般登山路では最難関と言われ、多くの山好きの憧れの縦走路となっている。 体力、技術、精神力が問われ、一歩間違えたら滑落がすぐ隣にいる。 しかし、歩いてみて思ったのはこの縦走路を通ると穂高岳の荒々しい稜線とスリル、そして穂高岳の偉大さがわかる路であった。 

2.山行計画について Day0 上高地と新穂高で車を2台分け、西穂山荘へ ※天候により、コースが変得る必要がある為 Day1 西穂高→ジャン→奥穂高→涸沢岳→北穂高 Day2 北穂高→涸沢→上高地 ※天候悪化で大キレット新穂高諦める 3.山行について ついにこの日が来てしまった。 約8ヶ月前から構想した計画、ジャンダルム遠征。 2人ともこの日のために多くの山を登り、お互い鍛えてきた。 いつも会う度にこの縦走計画の話をしたのを覚えている。さてどんな縦走になるかな。 まずは上高地より西穂高登山口より私は登った。 

道は簡単にいうと樹林帯しかなく、見所は物資を運ぶヘリコプターのみ。 勿論、花は咲き誇り、奥ゆかしさはあるものの、それよりも岩稜を胸に歩いていた。 4時間程度のコースタイムだが、1人で登っているので足が早く進む。 予定より早く、西穂山荘に着く。 目の前の景色はガス。そうこの三日間天気が悪い。 それでもアタックを掛ける明日は天気回復の兆しがあるので、この天気も予定の内。 

そして、相棒が来るまで西穂山荘の名物ラーメンを食べ、宿泊の手続きを済ませ、昼寝をした。 

16時に新穂高よりさおりは上がってくる予定だったが、15時20分ごろ16時に着くと連絡を受けた。 おいまじか。迎いに行く予定だったがコースタイムは1時間。走って新穂高に向かう。 15時50分に新穂高に着き、一服してるとさおりが降りてきた。 装備を見るなり、流石。綺麗にパッキングされた25lザックは岩稜に程よく確り考えてきたんだなと思った。 まだ未熟な2人はテント泊での縦走ではなく、小屋泊で身軽な状態で臨む計画だった。 そして、西穂山荘に程なくして着く。 

まずは山荘のご飯を食べ、滑落しないよう気持ちを込めて2人でミサンガを編んだ。 私は足に、さおりは腕に。 

そして、明日は朝食ではなく、お弁当を頼み就寝した。 アタック当日。 時間通りに起き、時間通り山荘を後に。 天気は風は10m以下、晴れではなくガス。 西穂高岳まで行き、悪化しない限り縦走すること決め、進む。 

西穂独標までは特に難路もなく、すぐに到着。 そしてオコジョと戯れ、振り返るとガスが動き、奥穂高まで縦走路が開けた。 

2人ともニコニコしたのを覚えている。 勿論笑顔で「テンチャ」と騒いだな。 ※天気めっちゃ良いの略 そして、西穂高岳へ向かう。天気は移りゆく。ガスったり、晴れたり、それでもこれはいけると2人は確信して時間短縮するために歩き続けた。 そして西穂高岳に着く。 ここからは2人が知らない西穂高岳~ジャンダルム間。さて行きますか。 ドキドキしていた。 

間ノ岳までは特段危険を感じなかったが、アップダウンの激しさとガレ場の集合体のような山。緊張感は時間共に増していった。 そして間ノ岳へ。特に標識はないが、岩に書かれた間ノ岳が愛くるしかった。 

ここからはあっという間の時間だった。 逆層スラブ。 

逆層スラブの上の高度感溢れる登り。 天狗ノ頭から見た景色。 

そして天狗ノコルからひたすらな登り。 どれも大切な一生忘れられない体験だった。 浮石が多い、ガレ場をひたすら登ると岩が集まった巨岩が見えた。そしてその上に天使が見える。 

「ジャンダルム捉えた‼︎」 辛く長く緊張が続いた中、嬉しくて仕方なかったことを覚えている。 そしてついにその時がきた。 何かがあった時は無理に助けず、救援を第一にすると約束していたが、その時は来ず、頂に立てた。 

2人揃ってジャンダルム登頂。 「何回も来れるとこでもないからたくさん写真とろう」「うん!」 たくさん写真をとったな。 

そして、ここから厳しさを増す。 ロバの耳、そして馬の背がある。 ロバの耳の下降、そして鎖なき急な登り。 

その先に見える馬の背。 

綺麗なまでのナイフリッジだ。 人生で2度目の馬の背を。 先ずは登り、ルートを確認。 安全地帯でさおりのコースを大きな声を出し、助言。 掛け声は「clear」「ok」。 距離を取りながらも2人でお互いの安全を最低限確保しながら超えれた。 奥穂高に着き、歩いた縦走路を眺める。 

西穂高の峰々はジャンダルムにより隠れ、圧倒的な岩山が空にそびえている。 目を凝らすと山頂に立つ人。 これが穂高か。歩いた人にしかわからない達成感。 充実感が溢れた。 その後は奥穂北穂縦走に行くも、2人とも気持ちで超えた。 

涸沢岳を超えると予想以上の急下降と難易度、特に二段の梯子の箇所はクイに足を掛け空に宙ぶらりんになる核心部があり、北穂岳に着くまでも気を緩めることが出来なかった。 

気は悪かったよ。でもそれでもよい。無事ここまで辿りつけた。 ビールを買い、雨が降り始めた中、大キレットが見えない中乾杯。 「明日はもうダメだな」 「楽しかった?」 「楽しかった」 「明日は上高地に下山で良い?」 「うん」 「最高の縦走だったな、忘れないわ」 「本当ありがとう」 「こちらこそ。」 これが2人の夢の縦走路の思い出である。 

以上


 
 
 

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​2017.08 alps mountain climber@yamap

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