大岩峰群・大崩山
- ゆ〜じ
- 2018年7月5日
- 読了時間: 6分
●2018.6.24(日) 8:00~18:30 ●メンバー:あんな,いでっち,紙,しーちゃん,ちーちゃん,ゆりな ●コース:大崩山登山口(祝子川)〜湧塚コース〜山頂〜坊主尾根〜登山口
福岡から車で4時間半。陸の孤島宮崎のそのまた山奥に位置する大崩山(おおくえやま)。
福岡空港から羽田に飛んで,車で八ヶ岳に行くのと時間的には変わらない。
「大崩山」
その名前から何を想像するだろう。
読んで字の如く,阿蘇根子岳や伯耆大山のような大きく崩れた荒々しい山肌だろうか。

大崩山を特徴づけているのが,この大岩峰群である。
一見すると山肌が露出していて,大きく崩れているようにも見える。
しかしよく見てみると,柔らかくて白く滑らかな花崗岩の集合体であることがわかる。
マグマが地中深くで冷えて固まり,長い年月をかけて隆起しその姿を地表に表している。
一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように,いやしくも登山に興味を持ち始めた九州人で,まず大崩山の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。
そんな九州人の憧れの山,大崩山を登った我々の記録である。

今回は湧塚コースから大崩山頂を踏み,坊主尾根(小積ダキ経由)を辿るコース。
地図に散見される「ダキ」や「塚」,これはそれぞれ「岩壁」「盛り上がった場所」を意味している。
さらによく見てみると,地図記号のガケマークが無数にある。
この山,まじでヤバいのだ。
私は基本的にヤバい山は好んで登らない。ただ美しい景色を見てその絵を写真に収めたい一心で登っている。
渡渉やらハシゴやら急登,断崖絶壁のトラバースとか,そういうのは全く求めていない。
先に載せたあの写真を撮りたいが為に今回この山行に参加した。
私は数時間後,そんな軽い気持ちで参加してしまったことを激しく後悔することとなる。
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深夜1時起床。この時点でおかしい。
さすがエールピース!普通の山岳会にできないことを平然とやってのける。
そこにシビれる!あこがれるゥ!
そんなこんなでAM8:00登山口に到着。
ちょうど前日に我らがリーダー,リョージスズキら屈強な山漢ら3名が同じコースに挑んだが,雨天による祝子川の増水により,渡渉できずあえなく撤退した。
その直後ということもあり,メンバー全員が不安な気持ちの中での山行であった。
登り始めは谷筋の斜面を高度もあげずに黙々と歩く。
むしろ高度は下がり,轟々と鳴り響く祝子川に向かっていった。
しかしこの祝子川,読書諸君は読めるだろうか?
いわいこがわ?しゅくこがわ?
全然違う。
なんと「ほうりがわ」と読むのだ。
元祖キラキラネームである。
「読めねぇよクソ!」とか思っているうちに渡渉点に到着した。
いきなりの難所であった。


写真では伝わらないが,かなりの激流である。
落ちたら流されて岩に頭をぶつけて星が出る。
そんな超危険スポット。
写真右の赤いおじさん。
なんと浮いている。
そんなふうに時空を歪めるほどの狂気に満ちたエリアである。
私は言った。
「帰ろうぜ」
・・・しかし誰も聞いていない。
「まじでやばいって。帰ろうぜ。引き返すのも勇気だよ」
返事がない。もしかしてみんな岩に頭をぶつけて気を失っているのでは・・・?
そう思い様子を見てみると,靴を脱ぎ,激流の岩場に足を楽しそうに岩の上を渡っているではないか。


引き返そう作戦は失敗に終わり,泣く泣く渡渉をクリアした。
通常時であれば2〜3分ほどで渡れる場所を30分かけて渡渉した。
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最初の難所を超え,いよいよ核心部の岩場に向けて登り始める。



ちょっとした渡渉を繰り返し,少しずつ標高を上げていく。
そして姿を現した・・・。
大崩名物ハシゴ。


最初はハシゴに会うたびに写真を撮っていたが,多すぎてSDカードがいっぱいになりそうなので途中でやめた。
歩行距離よりもハシゴの距離のほうが長いと言っても過言ではないぐらいハシゴだらけだった。
北アルプスなどでよくみる鋼鉄製のハシゴは,ガチッとボルト留めしてあり,頑丈で安心があるのだが,大崩山のハシゴの9割は適当にヒモで木の根っこなどにくくりつけてあるだけなのである。
一体この山は私に何を求めているのだろう。
心の中で「ふざけんなよ・・」とつぶやきながらガンガン登っていった。
そしてハシゴだけならいいが,,,


アミアミアルミの足場などもあるのだ。雨の翌日ということもあり非常に滑りやすくなっている。
タイツ的なアミアミならいくらでも拝むのだが,こんな危険なアミアミは勘弁してほしい。
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緊張感が解けない山行の中,,,
なんと,スケスケのTバックを発見!!!


いでっちのケツである。
ハシゴが連続する危険地帯でこれを見せつけてくる。
笑って手がプルプルする。
滑落したら全部いでっちのせいだ!
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凶悪なハシゴ群を登り終えると,急に展望が開けた。


美しすぎる。最オブ高である。
言葉が出ない絶景が広がっていた。

湧塚と小積ダキをバックに記念撮影。
今回の山行のハイライト。
足元は数百メートルも切れ落ちている。
過去に5回も大崩登山を経験しているしーちゃん隊員はこう言った。
「強風吹いたら死ぬよ〜」
そんな言葉をよそに,次々と岩の上に立つ女子達。
唯一,山口メンバーだけはビビっており,岩の途中で登れなくなってしまった。

亀状態の山口メンバー。
先行者達の声援もあり,なんとか亀状態を脱することに成功。

エールピースあるある:女子達がおかしい(褒め言葉)

大崩ジャンキーのしーちゃんのソロショット。
湧塚がよく似合う。
そんなこんなで,いくつものハシゴとロープ場を攻め落とし,袖ダキ,下湧塚,中湧塚,上湧塚など,やばめの岩を登ったりスルーしたりして危険地帯を抜けきった。
山頂までは比較的なだらかな雑木林の尾根道だ。
(やっと危険地帯を抜けた,ひと安心・・・)と思っていると,
「この道は平坦で変化がなくてきつい」などと,不謹慎極まりない発言をする女子メンバー。
そろそろサークル内で平坦至上主義者と断崖絶壁崇拝者との間で全面戦争が勃発するかもしれいない。
そしてダラダラと尾根道を歩き山頂についた。

お〜クェッの図。
そしてご飯を食べて下山路に向かう。
登り以上にハシゴ・ロープ・急坂が続く。
極めつけには,,,

ハシゴとロープのミックスである。
ほぼ垂直に垂れ下がっている。
登りはいいが,下るときは下を見ないといけないので,まじで怖い。
何を隠そう,私は高所恐怖症なのである。
「誰だよこんなルート開山した輩は・・・」とキレながら命からがら攻略していった。
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途中展望岩に寄り道する。
またまた崖っぷちに群がる女子たち。
OKUEの文字を作って満足げ。
私は早く下りたいのに。
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そして再びの渡渉点。
渡渉できる岩が無い。
激流もしくは深い瀬。
流れの緩やかなポイントを見つけ,皆無言で靴を脱ぎ始める。
滑って流されないように命をかけて川の中を横断した。

下半身ずぶ濡れである。
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渡り終えたころには18:30。

命がけで登った岩峰群を背に無事登山口まで辿り着いた。
19:00から祝子川温泉に入り,20:00にやっと帰路についた。
川底から噴き出る単純泉は最高だった。
メンバーを下ろしながら,レンタカーを返却し,最後に家に辿り着いたのは午前2時だった。
望遠鏡をかついでフミキリに行きたくなる時間帯だ。
夢の中でまたハシゴを登り,恐怖に目が覚めたら仕事に行く時間だった。
あの岩峰群はまさしく夢の世界だった。
恐怖におののいた山行だったが,秋の紅葉の時期にまた行ってみたいと思えるとても素晴らしいお山さんだった。
本州では味わえない恐怖の山。
アルプスだけが山ではない。
大キレットに飽きたら大崩山にチャレンジしてほしい。
九州が誇る秘境中の秘境。
今夜も夢に出てきてうなされそうだ。
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