赤岳・阿弥陀岳縦走!
- ゆ〜じ
- 2018年3月1日
- 読了時間: 10分
日程:平成30年2月24日(土)〜25日(日)
メンバー
・福岡からの刺客、ニコニコしているが中身は良い意味でぶっ飛んでるカミさん。
・ALPSの雪の女王、太陽までも味方につけるクレイジークライマーアヤカさん。
・筋肉バカよっしー。
行程
・赤岳鉱泉ー行者小屋ー地蔵尾根ー赤岳山頂ー文三郎尾根分岐ー中岳ー阿弥陀岳ー文三郎尾根ー行者小屋
はじめまして!リーダーを務めさせていただいたよっしーです!
今回のルートはノーマルルートではあるものの、文三郎尾根分岐から阿弥陀岳までの情報は少なく、難所も複数ある予感。
そもそもこの山行は雪の女王と筋肉バカが阿弥陀岳登りてぇ!と意気投合したことが発端。
二人それぞれ様々な山で経験値を高め、この冬の集大成として本山行に挑みました。
今回は難易度も高めなため、ALPS内で経験者を募っての開催。
そこに飛び込んできたのが福岡からの刺客、カミさん。
厳冬期南アルプスを経験しているナイスガイを加えてのチームになりました。
赤岳鉱泉まではゆーじさんのブログの通り!
前夜のステーキは全行程踏破のためのエナジー!
みんなモリモリ食べました。
翌朝はモルゲンロートを見るために3時に起床予定!
よっしーは緊張なのか興奮なのか2時半から起きてました。
ちなみにナミさんも起きてました。笑(星空撮影のため)
そして3時!
うん、誰も起きない!
山小屋で熟睡できるのはクライマーにとって重要な才能だな。と二人に尊敬の念を抱きながら起こす。
こそこそと準備をしているとうっちーさん起床→星空撮影へ
くろちゃん起床→トイレへ
ゆーじさん爆睡。
硫黄岳隊のみなさん失礼しました。
赤岳・阿弥陀岳隊は早朝3時半に朝飯。
これが地蔵尾根並みにきつい。
しかし黙々と食べるカミさんに負けじとかきこむ。
炭水化物大事!
アヤカさんはパワーバー。
なるほどその手があったか。
そんなこんなで4時赤岳鉱泉を出発!
ナミさん、うっちーさんのお見送りつき。ありがとう!

まずはのんびり行者小屋へ向かう。
ヘッデン消せば真っ暗な道。

しかしアヤカさんの神通力で見上げれば星空。
このパーティーには神が二人もいる。と思いを馳せているうちに行者小屋到着。
小休止を取りつつカミさんは星空撮影。

アヤカさんは装備を確認。
アヤカ よっしー手元照らしてもらって良い?
よっしー はいよ。
あれ?アヤカさんヘッデンついてるよな?
そう、アヤカさんのヘッデンは暗闇では手元が見えないくらい暗いのだ。
このときアヤカは新しいヘッデン購入を心に決めたとか…
そしてついに地蔵尾根へ
3人で円陣も組み、気合い十分。
よっしー 赤岳・阿弥陀岳登るぞー!
カミ、アヤカ レンジャー!
この二人やはり変わっているなと思いつつ地蔵尾根へ向かう。
激闘が始まった。

暗闇の中、雪と岩のミックスを登るのは実にきつい。
風が弱かったのが幸いであった。
お互い声を掛け合いながら歩みを進めていく。
よっしー ペース大丈夫ー?
カミ、アヤカ レンジャー!
この二人ふざけているのである。
断っておくが、私はレンジャーでも隊長でもない。
この返事が聞こえなくなったらヤバいということにしておこう。そう心に決めたのであった。
しばらくすると後ろから声がかかった。
カミ よっしー!ヘッデン消えたー!
なるほど。そう来たか。地蔵尾根の急登でこの試練。
極寒の中では乾電池の性能は落ちるから仕方ない。
やむを得ず、ヘッデンが明るいよっしーが最後尾へ。
急登の中で電池交換ができそうなスペースを見つけ、カミさんが交換に取りかかる。
ちなみにこのときアヤカさんは前爪で己の体を支え、暑がりのよっしーはニット帽とネックウォーマーを取っていた。
よっしー、アヤカ カミさん電池交換まだかな…
よっしー、アヤカ まだかな…
よっしー、アヤカ 遅くね?
よっしー、アヤカ 寒いし、足ぷるぷるだから早くしろよ!ふざけんなよ!
そう心で叫んでいた瞬間がこれである

のちにカミさんはこう語った。
カミ うわぁ、怒ってるだろうなぁ(でも想い出に一枚パシャっ)
危うくチームが崩壊する瞬間であった。
なんとかこの困難も乗り越え、さらに進む。

徐々に風が強くなる中、地蔵尾根の難所ナイフリッジへ。
距離は10m程だが、岩が剥き出しで引っかけて転べば滑落は免れない。
声を掛け合い、手を取り合いながら何とか突破。

そして遂に地蔵尾根の終わりが見えた。


歓声を上げる3人。
モルゲンロートは拝めなかったが、苦労の先に見えた雲の隙間の朝陽はとても美しかった。

地蔵尾根に佇む雪の女王

よく見るとカミさん

カミ&アヤカ

赤岳と阿弥陀岳。
白黒のコントラストが美しい。
写真撮影もそこそこに一行は赤岳頂上を目指す。


赤岳展望荘、赤岳頂上山荘を通過
そして

赤岳頂上到着!





それまでの雲は晴れ、権現岳やこれから向かう阿弥陀岳が美しい。 地蔵尾根の苦労も吹き飛ぶ絶景。 気持ちを引き締め、文三郎の分岐へ。

急峻な岩場ではあるものの、暗闇の地蔵尾根を通ってきた分、余裕がある。 油断はせず、一歩一歩下り、文三郎の分岐を通過。

またも佇む雪の女王 そして中岳直下に到着

これを越えれば阿弥陀岳へのビクトリーロードが見える。


みんなまだ余裕がある。 そう、このときまでは… そして中岳を越える


中岳にも急登はあるが乗り越える。 カミさんさすがの余裕っぷり。 そして遂に阿弥陀岳を捉えた。

しかしここで大きな難所にぶち当たる。 阿弥陀岳の難所と言えば、山頂直下の雪壁であるが、その手前には切れ落ちた尾根がある。 この写真は幅があるが、最も狭い所は足ひとつ分の幅しかない。 (さすがのカミさんも写真を撮れず。) このナイフリッジは3人とも強い恐怖感を感じながら進んだ。 たっっかいところで平均台の上を歩くような感じである。 さすがの雪の女王も足取りが重い。 よっしー ゆっくり確実に行こう! アヤカ レンジャー(小声) よし、まだ大丈夫。 皆アイゼンを引っかけぬよう慎重に進む。 太ももがパンパンになりながらも、ナイフリッジを無事に通過。 遂に阿弥陀岳直下に到着した。

目の前に立ちはだかるのはまさに雪の壁。 アイゼンを蹴り込み、ピッケルを突き刺しながら這い上がる。


2枚目は下りだが、こんな斜面である。 と、ここでアヤカさんのペースが落ちる。 そしてALPSの雪の女王、どんな山もニコニコしながら踏破してきたアヤカさんから笑顔が消えた。 よっしー 頑張れー!あとちょっとー! アヤカ …… まずい。レンジャーの声が聞こえない。 後ろにいるカミさんは相変わらずニコニコしているが、アヤカさんの状況は深刻であった。 相変わらずペースが上がらない。 撤退 その二文字が頭をよぎる。 まだ時間はあるが、午後からは曇りの予報。 隣の権現岳には雲が迫っている。 仮に登れたとして下りでガスに巻かれたり、強風が吹いたら無事に下山できるのか… 少しずつ歩みを進める二人を見下ろしながら考える。 やはり撤退か… 何とか雪壁を越え、立って歩ける斜面で声を掛けた。 よっしー アヤカさん、大丈夫? アヤカ うん、大丈夫(スタスタスタ) 前を通り過ぎ、少し先で休憩するアヤカ。 ……やはり雪の女王。心は折れていなかった。 彼女の背中からは 絶対に登る。 その意志を感じた。 後にアヤカさんはこう語った。 あの場面で目を合わせたら撤退すると言われると思った。と。 パーティーのリーダーとしてはここで撤退するのが正解だろうと思う。 しかし、カミさんとよっしーには十分な余力があり、アヤカさんの心は折れていなかった。 3人でフォローし合いながら登頂、下山しよう! そう心に決めた瞬間であった。 よっしー カミさん、あの子止まる気無いから行くわ! カミ オッケー カミさんはさすがの余裕である。 この3人なら越えられる!そう信じて最後の急登へ挑む。 山頂までは残り200m ゆっくりではあるが確実に歩みを進める。 残り100m 最後の先頭は阿弥陀岳登頂に強い気持ちを持って臨んだアヤカさんに歩いてもらう。 快く快諾してくれたカミさんありがとう。 よっしー さぁ!最後頑張ろう! カミ、アヤカ レンジャー! あ、戻ってきた。 そして遂に

阿弥陀岳登頂!!

やはり佇むアヤカ

とにかく明るいカミさん

元気な二人

阿弥陀像を拝むアヤカ 山頂は曇っており、景色は決して綺麗ではなかった。 しかし、この3人で見ることができたこの景色は何にも代えがたいものであった。 しかし終わりではない。 無事に下山してこその登山である。 ふくらはぎパンパンのアヤカさんのザックをよっしーのザックに縛り付ける。 これが俗に言うダブルザック!(らしい) カミさんからは途中で代わるから言って!という心強い言葉。 文字通り一体となって無事の下山を目指す!

途中登ってくる人もおり、道を譲りつつ一歩一歩確実に降りる。 しかしまぁこの状況で写真を撮るカミさん。 最高にクレイジーでイカしたカメラマンです。 そして雪壁を突破。 エスケープルートにて行者小屋を目指す。

雪壁をクリアし、安心したアヤカさん。 彼女が雪山で食べるのはマシュマロとグミ。 グミは冷えてとても固い。 しかし美味い。 カミさんとよっしーもたくさん頂きました。 エスケープルートは雪崩の危険もあるのでスピーディーに降りる。

ようやく樹林帯に入り一安心。 雪の女王にも笑顔が戻った。

遠くから見た阿弥陀岳直下。 よく登ったわ。 そして行者小屋を抜け、赤岳鉱泉へ無事に到着。

至福のココア。(カミさんはコーヒー) これを飲んだとき、3人は生還したと感じた。 アヤカさんはエスケープルートの段階で 赤岳鉱泉でココア飲むんだ! と叫んでいた。 念願叶ってよかった。おめでとう。 緊張の糸が切れたのか3人とも赤岳鉱泉の食堂でしばしのんびり。 しかし美濃戸口では硫黄岳隊が待ってくれている。 カミさんが連絡取りつつ、コースタイムを確認。 カミ 大体コースタイム二時間半だね。 よっしー 前は一時間半くらいで下りたかな。 アヤカ じゃあ記録更新しよう。 雪の女王ここに完全復活。 地蔵尾根から赤岳、阿弥陀岳を踏破した後に出たまさかのタイムアタック宣言。 よっしー、アヤカさんはチェーンスパイクに履き替え準備万端。 カミさんまさかの12本爪アイゼン。 よっしー、あやか カミさん無理しないでね。 カミ オッケー 始まるプチランニング。 後ろを振り返ると平然とついてくるカミさん。 12本爪アイゼンって走れるんだ。 初めて見る光景に驚きつつ進む進む。

躍動感。 ちなみにこういう写真を撮るためにカミさんは二人を追い抜いたりしていた。 本当にクレイジーである。 そんなこんなで堰堤広場を経て赤岳山荘へ到着。 カミさんアイゼン離脱。 背中に羽が生えたかのように爆走するカミさん。 爆笑しながら並走するアヤカさん、よっしー。 皆さんお気づきだろうか。 この3人、朝3時からずっと動いているのである。しかもそれなりにきつい山を登っている。 我ながら気持ち悪いなぁと思いつつ、ALPS変態登山部門が設立された瞬間であった。 そんなこんなで美濃戸口へ到着。 記録1時間10分 硫黄岳隊のドン引きはゆーじさんのブログの通り。

赤岳・阿弥陀岳隊

ALPS八ヶ岳隊
何はともあれ全員が無事に下山することができた。 美濃戸口でお互いの山行を笑顔で報告し合っているときの光景は企画した者として、この上なく幸せな光景でした。 硫黄岳隊を待たせるのも悪いので、ここで解散。 うっちーさんのレヴォーグは颯爽と帰路につき、我々はJ&Mへ

コーラで乾杯!

ハンバーーーーグ!!!! ちなみにJ&Mとは美濃戸口にあるお洒落なカフェ&レストラン&ペンションで、雪の女王は前日美濃戸口に着いた段階で下山後はここに来ると決めていた。 美味しいご飯をいただき、お風呂にも入って阿弥陀岳隊も帰路へ着く。 と思ったら硫黄岳隊から連絡。 新宿着きました! …早くね?笑 この世にはレヴォーグ走りなるものがあるそうなので興味のある方はうっちー車に乗ってみてください。 阿弥陀岳隊ものんびり帰宅。 車中はカミさんの写真を見せてもらったり、過酷な山行の余韻に浸ったりと、最後まで楽しく過ごしました。 その後、無事に横浜駅に到着。 福岡のカミさんとも再会を誓い、解散となりました。 こうしてALPS創設以来最も過酷であった(そんなことはないかもしれない)山行も無事に終了となった。 皆さん、また山で会いましょう。 終わり P.S 凄まじい長さのブログとなりまして、大変申し訳ありませんでした。 色々とご指摘のある山行だったかとは思いますが、皆さんの参考になれば幸いです。 これからも安全登山でいきましょう!
Comments